地味アラサーがセクキャバ嬢になってみた。

大学院卒・派遣社員・アラサー・セクキャバ嬢という私の労働記録。

ある日の昼と夜(ノンフィクション)

出会って20秒足らずの男とキスを交わす。

もちろんその男はお客さん。

はじめは唇と唇、そしてちょっとずつ舌を入れていき、だんだん激しく。

爆音で流れるBGMの中で、キスは熱情を帯びていく。

男の手は、だんだんと私の胸に、

そして衣装のファスナーがおへそのあたりまで開けられる。

“ぃゃん、そんな風にエッチに触らないで…”私は小さく言う。

 

男が「乗って」と言うと、私は男にまたがる。

私の股部を、男のそれになんとなくこすりつけてみる。

男は私の胸に顔をうずめ、そして乳首を舐めまわす。

男が興奮しているのが分かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

‥‥まぁだいたい、この辺りでボーイのマイクコールが入る。

「2番テーブルモニカさん、バックお願いしまーす。」

 

 

深夜1時半、退勤。

平日は遅い時間の客入りが少ないので、退勤させられる。

その日の日給は15,000円程。日払いで5000円だけ現金で受け取る。

家まではボーイさんか雇われたドライバーに送ってもらえる仕組み。

この日はボーイさんに送ってもらう。

ボーイさんの中では一番若手の東くん(仮名)。

背は小さいけどいつもニコニコしてて、この手の業種にあるけだるさを感じさせず(ダラダラしてない)、変に怖そうに見せたり高いブランド身に付けたりとかもない。

 

東「モニカさん、仕事慣れてきたッスか?」

も「いやぁ、まだ全然っすわ(ボーイさんにはぶりっこらない)。

コールもBGMデカすぎてあんまり聞こえないですしねぇ。」

東「はじめは女の子みんなそうっスよ!テーブルの番号覚えとけば聞きやすいっスよー!」

も (´・ω・`)оОО(東くん、いいやつ!)

 

繁華街から約20分車を走らせると家だ。車は家の前まで送ってくれる。

送ってもらえるなんて、なんて幸せなことなんだ!嬢のための福祉だなぁ、なんて呑気に思っていたが、これは何やら「トラブル回避のため」のようだ。

 東くん曰く、

 

東「女の子のこと出待ちする客もいますからね。家まで送り届けるのも僕らの仕事っス。アフターも基本うちの店はだめッスよ、モニカさん」

も「アフター?」

東「退勤した後、客と食事行くことッス。同伴出勤の逆、みたいな。普通のキャバと違ってサービスの内容がこうですからね。勘違いする客結構多いんスよ!」

も「へぇ…」

 

業界未経験の私、業界用語をひとつひとつ学ぶ日々である。

 

私の家には風呂がない。都会の古アパートである。

幸い、家のすぐ目の前に古アパート界隈の人間が集う銭湯があって、お湯もかなりいい。その風呂が好きでずっとそこに住んでいる。

しかし、その風呂屋は残念ながら1時に閉まる。セクキャバ退勤後は風呂に入れない。

 

ので、私はTシャツ短パンという姿で、

アパートの前にあるホースを使い行水する。(夏限定)

正直そこまで潔癖ではないけど、男に触られまくったあとなので、なんとなく心と体浄化の意味で行水。

で、すぐ就寝。午前3時。(眠すぎて行水出来ない日もしばしば。)

 

 

6時半起床。

化粧少し、服装適当白トップス黒パンツルーティーン、7時出発。

15分徒歩ののち、電車にゆられて30分。

会社の最寄り駅から更に徒歩10分。

始業5分前に会社着。「社員」たちは既に着席、各々忙しそうである。

この日は運悪く私の席を囲んで(人が居なかったため)で社員数人が小ミーティングをしている。やけに真剣な感じである。

私はその脇にある浄水器あたりで席があくのを静かに待つ。

8時、始業ベル。電話が鳴り出す。

始業ベルとともに私の席がやっと空く。着席。5分立ちっぱなしにさせられたことに若干イラっとする。

パソコンの電源を付け、左手にカレンダーと飲み物、右手にマウスクッションをセット。

さぁ、スタート。ここからはマラソンである。

私の仕事はひたすら伝票処理と仕分け。午前中は9時半と12時に締め切りがある。

形式の違う伝票を読み、フォルダ毎に分ける。

その間必要なメールが入れば返答したり、伝票を営業に回したりもする。

社員「派遣さん席どこー?」

なんて、呼ばれたりする。

私の部署に、私のような「派遣」は私ひとりである。でも、覚えてもらえない。

 

12時締切が終われば、私はどんな「社員」よりも社員食堂にいく。

この会社で心底よかったと思うのは、社員食堂がべらぼーに美味いこと。

食堂の列が出来る前に私はいち早く「バラエティ定食」を注文する。

同じ部署の人や、同じ派遣会社の人と食堂の列で前後になったりして、会話をすることになるのが嫌だからである。

そして食堂の一番端の、人から死角になる席を確保する。

昼休みと通勤時間は私の一番好きな時間だ。本を読んだり、音楽を聴いて過ごす。

この日読んだのは『野草の手紙』(ファンデグォン著 清水由希子訳 自然食通信社)。

45分はあっという間だ。また席に着き、残りの伝票をこなす。次の締め切りは午後3時、それが終わると、一度トイレに立つ。

トイレの鏡に向かって、目に入りかけてるまつエクを直し、携帯をちょっと見る。

昨日の客からラインが届いている。はぁ。(テンション凹)

 

3時からは地獄の時間である。

そう、仕事がない、のである。

2時間、睡魔と闘いながら、ちょろっと入ってくるメールや伝票を処理する。

1分で終わる作業を15分かけてやったり、仕事してるフリをしながら色んな空想をする。平均睡眠3時間だと本当に眠くて、トイレで5分仮眠をとったりもする。

 

午後5時終業。他の社員はまだ忙しそうだ(社員は何時に帰るのか、正直知らない)

小さな声でペコペコ「おさきに失礼しまーす」なんて言いながら、そそくさ退社。

今日も一日、私は名前を呼ばれなかった。

 

 

携帯を見ると、「エンジェルピース」のボーイ(私の担当らしい)横田(もちろん仮名)からライン。

 

ライン 

横田「おはようございます!今日8時出勤大丈夫すか?」

も「おはようございます!今日同伴出勤します!」

横田「客誰ですか?」

も「ヨシオさんです」

横田「👌」

 

職場からお店のある繁華街まで電車で約50分。その間まずは適当に写メ日記を更新して、お化粧を朝よりきちんと、そして濃いめに塗る。

(写メ日記とはお店のサイトに上がる嬢の個人日記である。風俗関係のサイトではほぼ必ずあるように思う。ちなみに同伴などの約束がないときは、お店近くにある銭湯に行くことが多い。)

駅についたら、駅構内にあるコスメ屋さんでマスカラとチークを追加。(買うお金がないため)

 

6時半、ヨシオさんと待ち合わせ。

今日はお寿司をごちそうして下さるそう。

適当な会話をする。ぶりっこしながらのお寿司は本当に味のないもの。

ヨシオさんは車で3時間かけて、二週に一回ずつくらいのペースでお店に来てくれるようになった。

「同伴」という経験も、このお客さんのお蔭で初めて出来た。

同伴すると1時間分の時給がプラスされる。お客さんも嬢とデート出来るし、嬢も時給が入るし、お店も早い時間にピン客が来るのでWIN WINなシステムのようだ。

8時に「エンジェルピース」出勤。

同伴出勤なので、今日の一番のお客さんはヨシオさんだ。

ヨシオさん、出来るだけおしゃべりして逃げ切りたいところやわ(口臭いんだもん)

 

 

そして、また同じ夜が繰り返される

 

違う世界を往復するような毎日が。